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The Rise and Fall of the Thran
「スランの栄枯盛衰」

 短編集The Myths of Magic中に収録されている、J. Robert Kingによる「Phyrexian Creations / (ファイレクシアの造りしもの)」中に登場する文献を訳してみました。Phyrexian Creation自体は、インベイジョン中にファイレクシアの襲来を受けたアーギヴの図書館を舞台にした物語です。ゴドウェンは、カーリに「決して読んではならない」と告げたにもかかわらず、カーリはこの本を読んでしまうのです。そこには、カーリが知っていた、影を操る邪悪な背徳者「世界の黒魔女(ワールド・ウィッチ)」としてのレベックの姿とは違った彼女の物語がありました。
 これ以外にもThe Myths of Magicには《リバイアサン》や《The Lady of the Mountain/(山の貴婦人)》、《Hand of Justice/(裁きの手)》の話が載っていますので、一度読んでみることをお勧めします。
― 訳者より




 そうして、スラン人はファイレクシア人となったのだ。ドミナリアにかつて存在した如何なる種族よりも偉大な種族は、多元宇宙で最も汚らわしい種族となったのだ。しかし、なぜ?単純なことだ、ある一人の男が荒らしたからだ ― ヨーグモスが。
 神話は彼を上手いこと神に仕立て上げているが、実際はヨーグモスはただの人間にすぎない。心が歪み、恨み深く、残忍で騙しが上手いヨーグモスはスラン文明の絶頂に疫病の波に乗ってやってきた。彼は同じ疫病を自分の市民を変貌させるのに使用した。彼は人心を手中に収め、その掌握を使って、高みへとのぼりつめた。市の番兵とスランの軍隊を手に入れ、そして世界をほとんど手に入れるところまで。彼はスラン文明を死壊都市へと変え、生ける市民を死する下僕へと変えた。
 これを読むものは、これは神話ではなく歴史だということを覚えておかなくてはならない。よく考えられているように、歴史は事実を多くし、装飾を少なくしなければならない。歴史はこのような極悪非道なものを含んではならないのだ。しかし、ファイレクシア人を説明するのに極悪非道なこと抜きに語れようか?この記述はヨーグモスに対立した同盟国の古い巻物をもとに検証されたものである。エルフ、ドワーフ、トカゲ人、ミノタウロス、猫人 ― すべてはヨーグモスという癌を目撃した。そしてそのすべてが、ヨーグモスは怪物を作り出した男ではあるが、ただの人間に過ぎなかったことを認めている。
 ことによると、最も多くを物語っている証拠は、予期されぬ発見からもたらされたのかもしれない。近年、コイロスの洞窟の調査で注目すべき石棺が発見された。それは深い立坑の底に備え付けられていた。それを引き上げるのに、滑車器で三週間もかかったのだ。
 琺瑯質の金属で作られたその棺は、当然古代のものと思われた。それは傷だらけで、あたかも長い距離を転がり落ちてきたかのようであった。石棺の中にミイラ化した、骨折や裂傷といった多くの外傷や、長きに渡る飢餓、変成疾患をあらわにした死体があるのが発見された。病でやつれた体には素朴な織物のガウンがかけられていた。しかし、何よりも多くのことを物語っているのは、骸骨の手の中に握られた、破れやすくボロボロになった羊皮紙であった。その文章が注意深く引き抜かれ広げられた後、探検者は古代スラン時代にかかれた手紙に違いないことを発見した。読み取れる部分は、以下のようなものだ・・・



・・・なんて愚かなの。あの人は私をなりたくも無いものに変えてしまった。救いの癒し手のふりをして私たち二人ともを壊してしまった。私たちは絶望的、ヨーグモスが希望を退けている。私は騙されたんだわ。すべての都市が騙されたの。帝国全てが騙されたの。あなただけは真実を知って欲しいけど、(  消失部分  )取り返しがつかない。その前に彼を止めるつもり。ここから出ましょう、あなたも私も行きたい人以外は皆。寺院が私たちを守ってくれる。そう、私はヨーグモスを止めるわ。彼は私を完全に我が物にしたと思っているわ ― もう彼のことは騙したわ。彼の無知加減さのおかげで、私たち全てが逃げられるかもしれないわ。私が愛するあなたを守ってみせる。あなたを救うのに遅すぎなければいいのだけれど!

あなたの親愛なる妻
レベック







後記:  短いものでしたが、お楽しみいただけましたか?最後の手紙を書いたレベックというのは、ヨーグモスの愛人(本当の夫はグレイシャン)であり、最後にヨーグモスを裏切ってドミナリアとファイレクシアを繋ぐポータルを封印したと言われる女性です。小説The ThranやApocalypseでは、彼女は昇天してドミナリアの地母神ガイアとなったように描かれています。小説The Thranに従うならば、死体が棺に残っているわけはないと考えざるをえません。そうすると、この死体は誰のものなのでしょうか?そして、この死体を棺に納めたのは誰なのか?失われた部分には何が書かれていたのか?色々と考えてみるのも面白いものです。


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