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Still Waters, Deep Roots水の中で根を伸ばし以下の寓話は短いものですが、多くを物語っています。リアシールのエルフはもしかすると、はるか昔ラノワールのエルフが持っていた臆病さと思慮深さを一番色濃く受け継いでいるかもしれません。それらは先の氷河期(アイス・エイジ)のエルフの文化にとても近いものがあります。リアシールの閉鎖性は彼らの文化を守りたいという願望に育まれたものですが、それはまたいくらかの恐れも育てました。以下の物語は後者の、エルフェイムの隠遁的存在への反動をよく明らかにしています。 ― テイジーア
静かに聞きなさい、子供たち。そうすれば、輝月が私たちを見つめている間に、大地に祝福を振りかけている間に物語を聞くことができるでしょう。あなたたちが生まれる前、けれどもそう昔でもない時、フィンという名の年若いエルフが住んでいました。フィンは多くの子供と同じで、活力に満ち、次から次へと質問をしていました。「どうして輝月は輝いているの?蛆はどこから来るの?どうしてみんなと仲良くしなきゃいけないの?」 フィンの質問の大部分は、多少なりとも彼を満足させる答えを与えられましたが、1つだけ大人が単純な答えを与えることができなかった質問がありました。「なんでリアシールを離れちゃいけないの?」もちろん、あなたたちは皆、リアシールの境目が神聖なものであることを知っているでしょう。私たちがフレイアリーズの加護の元、最も祝福された場所に住んでいるゆえに。しかしフィンはまだこのことを理解していないようでした。「僕はもっと世界を見たいんです!」彼は泣き叫びました。大人たちは頭をうなだれ、フィンの愚かしさが無くなるまで、その木々の忍耐心をもって待つことにしたのです。 しかし、それは終わりませんでした。代わりに、フィンの好奇心は痒み草の傷当てのように大きくなっていき、そのかゆみは止まらなくなりました。リアシールの端、モーエン川が南の境界線となっているあたりをふらふらしながら、フィンは、若い人間が川を渡っているのを自分がじっと見ているのに気が付きました。「あぁ!」フィンは思いました。「ひょっとすると、この人間は私の問いに答えられるかもしれない。」本当に、フィンは人間を呼び止め、質問をしてみようと思いました。よくよく見てみると、その若い人間はフィンに、日照りで浅くなったモーエン川を歩いて渡るように身振りをしていました。 フィンはなぜリアシールのものは彼らの里を離れてはいけないのかがわかるに違いないと思い、とても興奮していたので、その冷たい川に入り人間が待つ所へ泳いで渡りました。眼に入った水をぬぐい、フィンはその問いを繰り返していました。「なんでリアシールを離れてはいけないの?」 人間は再び身振りをし、フィンはぐっと近寄りました。微笑みながら、人間は横で大きなかばんを開き、フィンに中を見るように身振りしました。フィンは、その中に彼が不思議に思っていることを説明してくれる何かが見えることを期待して、その暗いかばんの中をじっと覗き込みました。しかし、彼が何が起ったのかを知る前に、その人間は覗き込んでいたフィンをかばんの中に押し込み、彼はどこかに行って二度と帰ってきませんでした。 わかったでしょう。フィンは辛抱強く待っていれば望みはかなったかもしれないのに、彼は先に自分の望みを果たしたのです。しかし、その答えは彼が望んだものではなかったでしょう。我が子供たち、深く根を伸ばすためには水の中にとどまらなければなりません。急流は賢いものは流さず、愚か者を流してしまうのですから。 |
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