|
| はじめに | WHISPER | コミュニティ | データベース | Magic Factory | ストーリーライン | WIZARD'S GUILD | |
|
Dying Breath末期の息これから紹介する短い物語は、表には出てこない、「吐息の盗人(Breathstealers)」とし て知られている暗殺者集団の世界について幾らかの洞察を与えてくれます。それらの音無 しの殺人者たちに関する情報を得ることは難しいというのは悪名高いことですし、吐 息の盗人の行為を記録することは非常に珍しいのです。とはいえ、我々がこの物語の詳細 の真実性に確証を得られないとしても、スークアタ(Suq'Ata)の歴史がアサシンたちの行 動の結果を物語っています。 ― テイジーア
第5の月、3日今日わたしは、ある母親が子供に「市場で黙らなければ、夜の間に吐息の盗人がきて息を盗 んでいきますよ」と囁いているのを聞いた。朝になるとその母親は、命を盗られた我が子 の魂を嘆くのだろうな。赤ん坊にその話をしゃべるとはね!だが、おそらくその若い母親 は、吐息の盗人というのは単に子供を恐れさせ、行儀をよくさせるための空想の産物にす ぎないと思っているのだろう。彼女は間違ってるんじゃないかと気にかかる。 ― アミーカットの大臣、クハッティーン
明月の睡夜の2日前俺の母は、私にハイレルという名をつけてくれた。なんでも、1ヶ月にわたって明月が我 々から顔をそむける、まさにそのときに俺が生まれたからだそうだ。俺はいつも、一番居 心地のいい闇の中にいたよ。俺が吐息の盗人にさらわれるずっと前からね。吐息の盗人に なる時にゃあ、末期の息に直面することになる ― 新しい人生を始めるためにな。 口の減らない俺の唇から息が離れ、肺からむっとする空気が抜け、再び闇夜から目覚める 前の意識を朦朧としたものが焼き払うのを、今でも俺は感じることができる。最後の夜、 俺は魂に影を与える最初のチャンスを与えられたのさ。こんな重要な任務を任されたこと を、俺は誇りに思うよ。準備しなくては。二日のうちに、生ける者の息を喰うのだ。 ― 吐息の盗人ハイレル
第5の月、4日
今朝、わたしは自分の冷や汗で目が醒めた。わたしは、パシャ(太守)が暗殺され、他の廷臣たちが
この危機に対してわたしに導きを求めた時に、良い知恵が思い浮かばなかったことを夢で見
た。パシャは真の賢人というわけではないが、彼は我ら民衆のイコンであり、そのイコン
は窮余の事態にはさらに重みをもつものなのだ。今月に入って、彼の死の夢を見たのはこ
れで2回目だ。わたしはスークアタ国(Suq'Ata nation)を憂いた。ケアヴェク(kaervek)の
軍勢は、ちょっとばかしの記憶に頼ると今は陸しか歩けないはずであるが、吐息の盗人た
ちが現実になり、奴らがウィルスのように我らの市街の暗闇に蔓延ること以上に我が心に
気にかかることはない。 ― アミーカットの大臣、クハッティーン
明月の睡夜の前日
俺は獲物を昼も夜もずっと見張っている。そして俺は自分の取るべき道がはっきりしてく
るのを確信した。俺が死を我慢をすることができるならば、俺はスークアタ帝国全土でお
そらくは最重要の人物の息を奪い取ることに成功すること間違い無しだ。今夜あいつが目
を閉じた時、俺は自分を閉じるのさ。我らの息は1つになるのさ。あいつが見る夢を俺が
見るんだ。俺たちの魂は皆で夜風に乗るんだ。次の夜が来て俺があいつの寝室に入った時、
あいつの魂は俺を兄弟として迎えてくれるだろう。俺は夜のスピリット(Spirit of the
Night)の腕の中で眠りにつくのだ。 ― 吐息の盗人ハイレル
第5の月、5日
わたしはパシャの死の夢をまた見た。自分の舌がわたしを見限るなんてことはこの時をおいて
金輪際なかった。いや、夢の中でわたしは熱心に、このすばらしき国が、他に我らの民を栄
光と知恵のもとで導くことができる男を取り立てる方法をしゃべったのだ。わたしは夢の中
で、我らがパシャの不徳さえもしゃべってしまったのを恥じた。彼の知恵はライオンのそ
れではなく、チータのそれであることはなんら彼の欠点ではない。今夜の祈りでは、わたし
はパシャに特別の謝辞を贈らねばならぬ。 ― アミーカットの大臣、クハッティーン
明月の睡夜
今夜こそ、初めて俺が死にゆく息を与えられる日だ。魂がその定命という軛を振り払う
のを感じることができる、というのは本当のことだ。ああ、まったく俺たちは天上人なん
だな。俺の兄弟クハッティーンとともに夢の路を歩く最後の夜、俺は、あいつの俺たち同
族に対する恐れを感じることだろう。そしてあいつのテリムトーに関する心配も感じるだ
ろう。なんとよく的を射た心配だろうか!テリムトーはまもなく、あいつが嫌々ながら思
ったように、スークアタの栄光の座を賜ることだろう・・・そしてその心は、夏草ほどに
たやすく曲がることだろう。そう、俺の新たな兄弟が恐れの原因となるのだ。今夜、あい
つの息は途絶え、あいつの知恵の輝かしい光を恐れる必要がなくなるのだ。クハッティー
ンの心はスークアタの太陽であったが、俺たちは闇を好むのでね。 ― 吐息の盗人ハイレル
|
管理者連絡先 | フィードバックフォーム | 権利表記
1999-2024 Wisdom Guild |