|
| はじめに | WHISPER | コミュニティ | データベース | Magic Factory | ストーリーライン | WIZARD'S GUILD | |
|
Bigasdat's Escapeコタラデカイの逃避行この物語は、ラノワールのエルフが外部のものにどのように見られているかを伝えてくれます。自身とは大きく異なった種族の前への現れ方を見ることは、しばしば面白いものです。その中には、客体と物語の記録者の両方から何かを学ぶ人もいます。この場合、外部のものというのはゴブリンであることを読み手は心にとめておくべきです。ゴブリンという生き物は、何事も大げさに誇張し気味であるものですから。 ― テイジーア
俺はコタラデカイがなまら好きでねぇ。ノロマ3人組のおふくろは、なんでもあいつが猫2匹分の図体で生まれてきたから、あいつを「コタラデカイ」と名づけたんだとよ。俺はというと、おふくろが風邪を引いたときに腹から出てきたから「ビークラ」と名づけたんだと。だっから俺はコタラデカイがでぇっ嫌ぇだ。 それはともかく、ある日コタラデカイは草食いガチョー・チョーの凧を失敬して、飛びにいったんだ。あいつが言うには、これは借りただけだそうだが、草食いの悪態からすりゃあ貸したとは思えねぇ。それはともかく、コタラデカイは風に上手くのって ― うぉーっと!落ちやがった。おいガチョー・チョー、あいつは何つう所に!やれやれ大変だ、「死の森」に引っかかりやがった。あいつ、ウーム爺が石を三個飲み込んだ後みたいに落っこちたんだ。(なんぜ爺がそんなことをしたのか結局知らなんだ) それはともかく、俺はその時は幸せいっぱいだった。なんたって、コタラデカイが逝っちまったんだからね。けれど、しばらくしてあいつは戻ってきやがった。あいつは自分を英雄みたいに思ってな。何てこったい! んで、コタラデカイは得意げにしゃべりだしたんだ。「やー、凧を落っことしてしまっただ ― ドッカパーンって ― 死の森の横っちょになぁ。ここみてぇなとこにまともに落っこちたら、ビークラやおめぇらもお陀仏だっただ。だけど、木に引っ掛かって助かっただ。」 その様子を物語るように、コタラデカイは目をつむって、口を開けて、いつもあいつが怯えた時にするように両腕をうねらせてな。多分あいつの頭は木の枝に突っ込んだだろうさ。 「あの森にゃ、俺らが見たこともないでっけぇ木があっただ。そいつらは、空までのびてで、根もえらく高かっただ。んで、長のガンコジーが説教たれるのを待つ時みたいに、何の音も聞こえなかっただ。死のエルフたちが来るのを待っていたらわかっただろうがな、太陽が見えなかったからどうやって走り出したのかわからんだ。」 木がそんなに高いのに、なんでそのまた上にある空を見れるンダ? 「んでよ、5・・・いや9・・・90もヤツラがいるのを聞いただ!こっちに向かって!尖がった歯、禍々しい眼、毒の矢を持った死のエルフが!帰り道はあいつらのいないほうだってとっさに思っただ。いやよ、あいつらが10やそこらしかいないんだったらよ、戦ったかもしれねぇけどよ、そったらにいっぱいいらぁ走んねばな。ノロマ3人組のおふくろは、俺が死んだら悲しむでよぅ。」 んだ、俺がいなきゃおふくろは駄目ださ。そったら多くのエルフがコタラデカイを探して追ってくるなんて、誰が信じるだ?しとりのエルフが泣き叫ぶコタラデカイを素っ裸で吹雪ん中にほっぽり出したとしてもだば。 つーわけでな、俺はずーっと走って走って走りまくっただ。ゴブリンがそんなに長く走ったことなんて、今までなかっただろうなぁ。エルフがそこかしこにいるのがわかったし、一度は葉っぱの山の中に隠れたんさ。で、奴らは俺を見つけれなかったんださ。 おおかた、エルフはコタラデカイのお気に入りの石よりバカなんだろうよ。コタラデカイは、ガチョー・チョーが片目で耳無しでも彼女の目から逃れることができないというのに! 「んで2・3日もそうしていたにちげえねぇだ、俺は死の森を抜けて鉄爪山へと戻ってきたんだ。尖がり耳ども総がかりでたった一匹のゴブリンも捕まえれねぇときたもんだ。で、その一匹のゴブリンが俺様というわけさ!」 「おいおい、コタラデカイよぅ。おめぇは1時間やそこら消えてただけだろうさ。しかも、おめぇの凧は石が飛び込んだ辺りにすぎねぇじゃねぇか。」と、俺は指し示したんだ。 「おうよ、何日にも思われただ。それが1時間の出来事だとしてもだ、俺はえらく速かったからな!それはともかく、凧が森に落ちて少なくとも1時間ださ。」 「あー?うっほー、んだば何で、こっから見ることができたんダ?」 コタラデカイは森と凧が引っかかっている木を見つめただ。そいつは、草食いがつま先で虫を捕まえられるぐらいの距離だば。そしたら、あいつは俺の言ってるコトに気付いたに違いね。あいつがぶん殴ってきたでよ。んで、俺も殴り返しただ。 それはともかく、俺たちがぐっすりと寝ちまうまで続いただ。んで朝んなったら、草食いの奴がコタラデカイの耳を何時間もつねっただ。つまるところ、兄貴が何の役に立ったのかわかるか?
|
管理者連絡先 | フィードバックフォーム | 権利表記
1999-2024 Wisdom Guild |